オーディオ用レコーダの過渡
R-1とは?

R-1とは、Roland Edirol R-1のことです。2004年の終わりくらいに発売されたオーディオ用レコーダです。EdirolはRolandのコンピュータオーディオ用のブランドでした。
2004年頃の録音環境

私は当時からプロだったわけではないので、録音環境は充実しているとは言えませんでした。できることといえば外部マイクを使ってカセットテープかDATかMDに録音し、アナログ出力からPCIのサウンドカード経由でパソコンに取り込んで編集していました。
R-1のアドバンテージ
固体記録素子がやってきた
なぜ外部マイクを使うかといえば、DATやMDは回転機械を内蔵しているため、機器の音を拾ってしまうのでした。
こんな時登場したのがRoland Edirol R-1です。これはコンパクトフラッシュに録音できます。電池はアルカリ電池で、スペックシートを見ると2.5時間持つと書いてありますが、実際は2時間ちょっとくらいは持ちました。コンパクトフラッシュは2GBのものまで使えたので、44.1kHz/16ビットだと3時間近い録音が可能でした。

当時はこのR-1にECM-MS957をつけて野外での野鳥のさえずりやコーラスの録音をして楽しんでいました。実はオリジナルCDを作り始めたのもこの頃でした。

編集が楽
データの取り扱いが楽
R-1で可能な高データレートのリニアPCM録音は、MDに比べると非常に音が綺麗で編集しやすいと言う点が今でも記憶に残っています。
MDからPCに取り込む際はデジタル出力かアナログ出力からリアルタイムの時間をかけて取り込むしかありませんでした。しかも音が悪い。
その点においてDATは音質は良く、ポータブルのものでは48kHz/16bitが限界だったと思います。デッキタイプでは48kHz/24bitのものもありましたが、これはテープ一本に60分くらいしか記録できません。実際に収録で使用する場合は32kHzで使うこともありました。テープの場合では特にランダムアクセスができないので、実時間をかけてデータを取り込む必要がありました。
このデータを取り込むという点において、コンパクトフラッシュを採用したR-1はデータ転送が非常に楽でした。ファイルを転送するだけでしたからね。

サンプリング周波数が高い
サンプリング周波数が低いとリバーブやイコライザがきれいにかからないのです。これはつまり、読んでそのまま「サンプルが少ない」ということです。このため、当時としては十分な密度の44.1kHzで、しかもPCMのまま録音できるというのは非常に後処理が楽になりました。

bit深度が深い
bit深度が24bitというのも素晴らしいことでした。24bitはダイナミックレンジが広く取れるようになったため、コンプレッサや音量の調整にかなりの余裕ができました。
16bitはやはり再生用には十分なものの、素材として使うには解像度が少し荒いです。特にライブ録音などは音量を決め打ちするので恐ろしいです。
MDに至ってはかなり圧縮されて音声が記録されるため、非常に録音も切れなくメモ程度のおいしさしかありません。特にMDLPの4倍モードでの録音などはあまりにもひどい状態でした。4倍だと80分のディスクに320分、つまり5時間以上も記録ができましたが、後で聞いてみるとひどいクオリティだったのを覚えています。後にリニアPCMで録音できるHi-MDが発売されますが、もうその頃はR-1を主に使用していました。しかしHi-MDは機械としては欲しいな、とは思いました。
MDの録音のひどさをもう少し語ると、MP3の320kbpsとMDの標準であるAtrac3 292kbpsはおよそ同じような音質だったと思います。MP3はたとえ320kbpsでも波形をいじるような編集には向いていませんでした。
R-1を壊した
R-1は発売してすぐ買ったため2005年中にはいろいろな録音で使用していました。そんなR-1も15年も経つとやはり黎明期のレコーダと言う感じがします。今でもたまに使っているのですが、最新のレコーダに比べるとクオリティもよろしくありません。そんなことを思っていじっていたら手を滑らせておとしてしまいました。

液晶が割れて二段ある液晶表示の上段の全部と下段の左側が表示されなくなってしまいました。
修理に出してみた
落としてすぐに一応修理見積もりに出してみましたが、修理見積もりが3万円近い額になりました。2020年現在では修理依頼も受け付けているか怪しいところです。3万円もあればもっといいレコーダが買えるので見積もり代だけ払って返してもらいました。
修理するには
修理するためには、壊れていない液晶モジュールが必要です。インターネットオークションでジャンクな個体を探してみると、乾電池が液漏れを起こしてひどい状態になったR-1を見つけました。

電源が入らず、中身を見てみるとメインのメモリやプロセッサと思われる部分にアルカリ液が付いてしまい腐食しています。これでは使い物になりませんので、画面だけ取り外して私のR-1に移植することにします。
画面の実装で心が折れる
ところがR-1を分解してよく見てみると、なんと液晶は半田付けされています。

たまごっちなどはゴム上の配線で基盤とつながっていたり、有象無象の携帯機器の液晶はモジュール化されてフレキでつながっています。それならすぐに交換が可能です。しかしR-1は半田です。手作り感があります。この半田を剥がして移植するのはちょっと骨が折れます。別に急いでいるわけでもないので、今回は確認だけにしてそのうち液晶画面を移植することにします。

幸い電池ボックスは右下にあり、液晶のブリッジ部分とは離れていたため、部品としての液晶は無事のようです。見た目は・・・
機器の進歩を感じる
Zoom F1との比較
ここで余談ですが、うちにあるもので現在最新のポータブルレコーダを紹介します。ZoomのF1です。

さらに余談、万が一、落としたりして力がかかってもマイク側の基盤が折れるのでレコーダは無事という素晴らしい設計である。
このZoom F1は私のお気に入りのレコーダの1つで、Zoom独自のマイクカプセル交換モジュールを使用することができます。お気に入りと言いつつ現場で使ったことがないのは内緒です。
F1はマイクカプセルだけではなく外部入力も備え、またモニタ出力を兼ねた外部出力も備えるレコーダです。もともとはTascamのDR-10シリーズのように放送や収録でのラベリアマイクのバックアップ録音のために作られたと考えられますが、その機能からしてフィールドレコーダとしても、またカメラの補助レコーダとしても使えるようにできています。
下にR-1とF1のスペックを書いておきます。収録時間だけみてもメディア、電池ともに段違いです。14年の進歩は凄いですね。しかしながらサンプリングレートとbit深度は、実は14年間あまり進歩していないというお話をいつか書きたいと思います。

製品名 | 電池持ち | メディア記録時間 |
Zoom F1 (2018) | 5時間前後 (XYH-6 ステレオ録音時) | 約15時間 (96kHz/24bit ステレオ 32GB SDカード) |
Roland R-1 (2004) | 2時間強 (外部マイク プラグインパワーOFF ステレオ録音時) | 約2時間 (44.1kHz/24bit ステレオ 2GB CF) |
まとめ
R-1を壊したので修理しようとしてめんどくささに心が折れました。あとF1と比較して14年の進歩を感じました。
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