URSA 12K の感度について

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Blackmagic Design URSA Mini Pro 12K の感度について

トップの画像はRED ONEです。

突然発表、URSA 12K

去る日本時間2020年7月17日の午前1時、てっきりPocket Cinema Camera 8Kあたりが発表されるかとおもっていたら、「Blackmagic URSA Mini Pro 12K」(以下URSA 12K)が発表されました。特筆すべきは解像度で、Super 35の大きさでなんと12288 * 6480という80MP級のセンサを搭載しています。この時点ですごく欲しい。

クロップ耐性

発表時の動画の通り、ヨコ12Kという解像度はクロップでも真価を発揮するでしょう。一般的には12Kからリサンプルするという8K映像の方が利用価値がありそうですが、私のような零細制作では時としてクロップを多用します。

たとえば、12K RAWからFHDをクロップするとなると、なんと約6.2倍のズームができることになります。ポスト処理でこれほどのズームができれば、仕事によってはズームレンズいらないかもしれないのです。めっちゃほしい。

感度・・・?

これまでに公表されている撮像性能は、ダイナミックレンジが14Stopでベース感度がISO800であることです。ISO800はARRIなどと同等で、フィルムカメラを使っている人からすれば十分高感度かもしれません。

私にとって問題なのは、普段の仕事では舞台などを撮影するため、ISO2500以上の感度で常用したいという点です。そこで、Blackmagic DesignのホームページからダウンロードできるFootageで感度の情報を確認してみました。

DaVinci Resolve Studio 16.3 betaで読み込み、タイムラインに置いて、クリップをベースにしたRAW現像の設定をしてみたところ、以下のように設定することができました。

URSA 12K footage “A0010_06050642_C043.braw” selectable ISO3200

URSA 12K では、ISO800で撮影したRAWはISO3200まで増感できるようです。

正直微妙です・・・ちょっとほしくない。

これがBMPCC4Kだとこんな感じになります。

BMPCC4K : ISO400で撮影時:ISO1000まで増感できる
BMPCC4K : ISO2500で撮影時:ISO6400まで増感できる!
BMPCC4K : ISO10000で撮影時:変えられない

正直なところ、これはとっても微妙です。舞台撮影だと普段ISO2500で使っていても、露出不足で増感処理することもあるのです。

URSA 12Kは照明をしっかり作ったような環境でないと難しいかもしれません。やはり80MPをSuper35mmにおさめるとピクセルサイズがかなり小さくなるのも原因だと思います。それでも、14Stopのダイナミックレンジはすごいことです。

この流れ、これはもうBMPC4Kの事を思い出さずにはいられません。

過去の製品のおいしくないところ

BMPC4K

Blackmagic Design Production Camera 4K (以下BMPC4K)

BMPC4Kは2013年発表、2014年2月発売のカメラです。当時としては4KUHDをRAW / Prores HQでの記録ができ、ダイナミックレンジは12Stopで、グローバルシャッタというかなりいい感じのカメラでした。が、次のような問題がありました。

ISO 200 / 400 / 800

なんとこのBMPC4K、感度設定がISO200 / 400 / 800しかありません。フィルム並です。フィルム並ならISO25 / 50 / 100も選べるといいのですが、メリットがないみたいで選べませんでした。しかしながらISO800は明るいレンズを使っても舞台撮影ではやや暗い感じです。しかも、ISO800だと次の問題がありました。

Fixed Pattern Noise

BMPC4KをISO800で使うと縦のシマシマが現れるのです。それも暗部に。明るいとでませんが暗いとでます。舞台だと暗転時に出るのでちょっと間抜けです。私のところに来たのはそんな個体でした。個体によっては全くでないのもあったようです。

BM本社に問い合わせると「ちゃんと照明を作ってくれ。Production Cameraなんだよ?」という返答でした。ごもっともです。

Black Orb

雲の縁がえらいことになってる。本当は白飛びすべきところ。

逆に明るすぎるものを撮ると出るBlack Orbです。これはBMCC,BMPCCにも共通して起こった問題だったようです。原因は推測の域を出ませんが、使っていて感じたのは、おそらく赤外線の入光に弱いためではないかと思います。これも照明球を直接撮りでもしない限り出ないものですから「照明を作れ」となるワケです。

まとめ

URSA 12Kは各諸元がすばらしいものですが、唯一感度だけが気になります。URSA 12Kは照明をしっかり作ったような環境でないと使うのが難しいと思われます。松下のVaricamなどはベース感度ISO5000という超高感度が選べるとか、そろそろSony α7s IIIが発表秒読みだったりと、時代は超高感度に移行しつつあります。結局のところ暗くても明るく解像度よく撮れるのはまだまだ先のようですね。

それでも、レンタルで出てから現場で試してみたい楽しみな一台です。

あとBMのファーストロットはもうこりごり。

購入後の追記

結局このあと2020年中に購入しました。

センサの感度はこのとき思っていたよりも「普通」という印象でした。感覚としては・・・写真機で言うと、ちょっと前のAPS-C機みたいな感じです。つまり、高感度の設定はあるが、そんなに無理できないなあ、というようところです。主観的すぎてすみません。

確かにISO3200は暗いところなどが辛いものの、そもそも12Kの解像感を活かすためにつよーいレンズ(明るくて解像度の良いやつ。大体クソ重い。あと12Kを活かすならF5.6以上は絞れない。)を使うのでそこまで気にならないという印象でした。

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