重いのはファイルだけじゃない!レンズが重い!
浅いのはコンテンツだけじゃない!被写界深度が浅い!
12Kの解像度
スーパー35mm判の79MP!
URSA 12Kはスーパー35mmのセンサに79MPという画素を詰め込んでいます。
その解像度を活かすにはいろいろ工夫が必要ですが、まずはやっぱりレンズでしょう。というわけで、URSAで使うレンズを選ぶ上で他のカメラと共通点があるのか調べてみましょう。
ほかのカメラとフォーマット
最近ようやく4Kだけでなく8Kカメラが各社から出てきました。制作用のものがほとんどで放送用のものはまだ先だなあ、とは思います。
下の表にカメラとセンサ、そのフォーマットとピクセルピッチを計算した値を示します。
Camera | Width [mm] | Height [mm] | XResolution | YResolution | Square [mm^2] | Pixels | PixelPitch [μm] |
---|---|---|---|---|---|---|---|
URSA 12k | 27.03 | 14.25 | 12288 | 6480 | 385.18 | 79626240 | 2.20 |
FX3 | 35.6 | 23.8 | 4240 | 2832 | 847.28 | 12007680 | 8.40 |
NHKライカ判フル8K | 37.632 | 21.168 | 15360 | 8640 | 796.59 | 132710400 | 2.45 |
2/3in | 9.6 | 5.4 | 7680 | 4320 | 51.84 | 33177600 | 1.25 |
5/4in(1.25) | 16.1 | 9.1 | 7680 | 4320 | 146.51 | 33177600 | 2.10 |
Red vv 8k | 40.96 | 21.60 | 8192 | 4320 | 884.74 | 35389440 | 5.00 |
エアリーディスク
ここで問題になるのがエアリーディスクです。小絞りボケとして知られる解像度低下の一要因です。
一般的なレンズはその最もレンズらしい(理想的な光学特性を持つ)部分である中心付近が、つまり「よく」写ります。そのため絞りで中心付近の光線を抽出すると、解像感やコントラストが良くなるわけです。
しかし、絞りという機械的要素の都合上、どうしても光の回折を無くすことはできません。
その回折によってできる像がエアリーディスクです。
こちらのサイトにてエアリーディスクの計算とビジュアルイメージを確認できます。
これによると、表1からみてURSA 12Kのピクセルピッチは、選択肢のうちの「RX100」のセンサに近いので、その絞りの限界はf/4〜f/5.6の間にあるようです。
つまり、URSA 12Kではf/5.6より絞ると小絞りボケが生ずるのです。
ピクセルピッチとレンズの都合
そうなると、理論上f/5.6以下のレンズしか解像度を担保できないわけです。
尤も、エアリーディスクのサイズたる第1暗環のサイズであれば、URSA 12Kのピクセルはf/1.4〜f/2の間に収まってしまいます。この明るさを持つレンズでないと、カメラの性能を活かしきれないのです。
表1をながめていて面白いのは、URSA12Kも1.25/8KもNHKフル8Kも、ピクセルピッチが2μm付近と、数値上は割と近しいことです。
おそらくはこのあたりのピクセル間隔がレンズを加味したシステム全体としての、現在の光学技術の実用的限界なのではないかと考えられます。
そしてその性能を満たすレンズは明るくないといけないわけですから、自ずと大口径となり、重くなるのです。
被写界深度と絞りのトレードオフ
さらに現代映像の高解像度化には被写界深度の浅さがつきまといます。
センササイズとボケ
センササイズが大きくなるとボケ量も大きくなります。シャシンだったらそれが芸術的表現にもなりますが、放送の方では死活問題でしょう。
解像度を生かすためにレンズは絞れず、それでいてセンササイズは大きくなる一方ですから、カメラマンは大変ですね。
表1には現行のHD/4Kカメラで使われている2/3インチでもし8Kを実現したら、という場合も載せました。
こうなるとピクセルピッチが1.25μmになってしまい、レンズはf/1.0前後のものでしか解像度を担保できなくなってしまうため、システムとして成立しないのではないかと思います。
横道
話がずれますが、このセンササイズの「インチ規格」は撮像管時代のもので、その撮像面のサイズとは何の関係もないのです。実際見てもらうとわかります。



この21mmの円が像面であり、そのうち実際に使われるのが 13.2×8.8mm という狭い範囲だというわけです。「直径21mmの撮像面の円」と「13.2×8.8mmの面」の間には何の関係もないですね。「1インチセンサ」の言葉だけだとわからないです。
まとめ
重くなるレンズと浅くなる被写界深度の話でした。
ほんとうはレンズ選びの話を書こうと思って書き始めましたが、設計上の解像度とかの話になると複雑すぎてまとめきれないので、いつか12Kを活かしきれる、隅々までカリカリなやつを沼から見つけたら続報を書きます。
参考文献
次世代デジタルカメラシステムの画像の高精度化における因子と課題 (向井 弘,日本写真学会誌 より)
4K/8Kカメラの光学系について (山下 誉行 ら,映像情報メディア学会誌 Vol.71 より)
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